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オマエら何なの?
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ギョッとして、大丈夫か?と奏の両肩を掴んだ。
奏は表情を変えないまま、ゆっくりと口を動かした。
『りっちゃん、今、"奏"って言った・・・?』
今度はこちらが、え?、だ。
言ったけど?と言うと、さらに涙が溢れ出した。
訳が分からず、あたふたとする俺を、奏は泣き笑いしながらみつめてきた。
何なんだよ、コイツ・・・
俺は混乱した状態で、とりあえず、奏にタオルを渡した。
それを受け取って顔を拭く奏は、ふふふ、と笑い出す。
『りっちゃん初めてだよね、
ボクを"奏"って呼んだの。』
「は?」
そうだっけ?と訊くと、そうだよ。と返ってきた。
俺には全く自覚が無いが、
どうやら、本当らしい。
心の内では何度も呼んでいたが、口に出したのは初めてらしい。
俺にとっては、"へ?、そうだったのか"程度のことなのだが、奏にとっては違うらしい。
いつまで経ってもタオルから顔を離さない奏に向かって、悪りぃ、としか言えなかった。
どうして謝るの?と訊いてきたが、謝る以外、どうしていいのか分からなかった。
やがて泣き止んだ奏は、ありがとう、と微笑んだ。
いつにも増して、柔らかく、優しく。
本当に喜んでいるんだな、となぜか俺まで嬉しくなってくる。
だが気恥ずかしいので、そりゃどーも、と素直じゃない言葉が出てきた。
ゆるゆると顔を崩した奏が、俺の服の端を摘まむ。
『りっちゃんっ♪』
「何だよ、奏」
陳腐だ。
陳腐過ぎて甘過ぎて、吐き気がする。
でも、仕方ないから付き合ってやった。
『でも、"オマエ"てってのも、"俺のモノ"感があって、好きだなぁ?』
「調子に乗るな。」
にんまりと笑う奏にデコピンをし、俺は階段を上っていく。
奏の、最高に美味い料理を、期待しながら。
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