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バカか、オマエは。
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「スミマセン。
目障りだったんで蹴らせていただいたッス。」
俺は取ってきたケーキの皿をテーブルに置いた。
涙目の奏と目が合う。
テメェ、と叫ぶ男2人の股間を順に蹴り上げ、起き上がって背後から殴り掛かる男の拳を避け、代わりに殴り飛ばす。
ガシャンッ!と倒れる3人を、冷ややかに見下ろす。
「俺のツレに汚ねェもん晒すんじゃねェーよ。
下衆。」
覚えてろよっ、と逃げる3人を見つめながら、誰がオマエらなんか覚えてるかよ、と吐き捨てる。
そして、傍観者ヅラした奴らをひと睨みし、再び奏のほうを向く。
「大丈夫・・・な、わけねぇか。
・・・1人にして悪かった。
ゴメン・・・」
『り、りっちゃんは謝らないでっっ!!
悪いのはあの人達でっ』
頭を下げた俺の体を、奏が起こそうとあたふた手で押す。
手から伝わる震えに、奥歯を噛み締める。
奏に楽しんで欲しかった。
無理して来ているのは分かってたが、少しでも楽しんで欲しかった。
笑顔でいて欲しかった。
ケーキ食べてる時の奏が笑ったから、もっと食べて欲しかった。
もっと笑って欲しかった。
でも、結局は、辛い思いをさせるだけだった。
俺が1人にしたばっかりに。
泣かせてしまった。
傷付けてしまった。
取り返しのつかないことに、なるところだった・・・
すっ、と俺の体から手が離れる。
下を向いたまま目を瞑る俺には、
奏が何をしているか分からない。
いや、たとえ顔を上げていたとしても、涙で滲んで見えないだろう。
何をされても構わない。
殴られても文句は言えない。
いや、殴られただけじゃダメだ。
殴られて蹴られて罵られて。
それでもきっと、この罪は償えない。
もう一度謝ろうと、口を開いた。
口の中に何が突っ込まれ、広がる。
甘い甘い、生クリームの味が。
『りっちゃん、美味しい?』
驚いて顔を上げると、にこやかに笑う、奏がいた。
美味しい?と再度訊く奏に、俺はためらいながら、頷く。
よかったぁ、と微笑む奏は、キレイだった。
「奏・・・」
『りっちゃん、これ食べ終わったら、今度はどこに行く?』
無邪気に笑う奏を見ていたら、胸の奥が、苦しくなった。
俺はそれを隠すように、じゃあ、とこの後の予定を、奏が好きそうな店を、口にした。
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