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バカか、オマエは。
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それからの俺達は、比較的楽しく過ごした。
ケーキバイキングの会計中、男をぶっ飛ばした際に壊したテーブルと皿代を加算されたり、
たこ焼き屋で、タコの代わりにイカが入ってて驚いたり、
ミニゲームで、奏がデカイくまのぬいぐるみが欲しいと言ったので当ててやったり、
文芸部部室に部誌を買いに言ったら、部員に奏が撫でくり回されて遊ばれたり、
とにかく色々あった。
そして今、次はどこに行くかと考えながら歩く俺達の前に、
変態が、現れた。
『あっれ??奏チャン?
なんでココに居んのぉ?』
バニーガールの衣装に身を包んだ、
雪里という、変態が。
俺は見なかったことにしようと踵を返すが、ちょっと待て、と変態に肩を掴まれた。
「何?その格好。」
雪里は口を尖らせて、指名率最下位の罰ゲーム、と呟いた。
そう言えば、雪里の所属するサッカー部はホストクラブをやってたっけ。
コイツ、顔は良いしノリは良いけど、なんかウザいんだよな。
最下位、と憐れんだ目を向けると、"いいんだっ!気分は涼城ハルカちゃんだからっ!"と、開き直る。
ちなみに、涼城ハルカというのは、雪里が好きなアニメのヒロインの名だ。
なんにせよ、これは・・・
『おぇ〜・・・
何その格好、キショ過ぎっ!
さっき食べた綿あめ、リバースさせるつもり?』
"似合ってない"
俺がそう口にする前に、奏がボロクソに貶した。
はぁ?とケンカ腰になる雪里に、奏は容赦無く言い放つ。
『そんな格好で校内うろつかないでよ?
りっちゃんの顔に泥塗るつもり?』
『んなわけねェだろっ!
オメェこそそのウサ耳フードなんだよ?ぶりっ子が!』
『誰がぶりっ子なのっ!
ボクはりっちゃんにしか甘えないよっ!』
ケンカし出す2人をチョップで止め、引き剥がす。
なんでこうも仲が悪いんだ?
犬と猿か、オマエらは。
"犬と猿"
自分で考えたことだが、当てはまり過ぎだと思い、吹き出しそうになる。
引き剥がされても、なお、言い合いは続く。
『オマエあれだろ?
1人で廻るのが怖くて律に引っ付いてんだろ?弱っち〜』
『違うもんっ!
りっちゃんが一緒に廻ろうって言ってくれたんだもんっ!』
嘘だね、と吐き捨てる雪里。
いや、嘘じゃない。
本当、事実、真実だ。
俺の言葉に、マジ?と大げさに驚く雪里に、奏は勝ち誇ったような顔をする。
それで更に雪里の勢いが増した。
『じゃあ、あそこの角のお化け屋敷、入って来いよ!
1人でしか入場出来ないんだぜ?
オマエが弱っちくないトコ、見せてみろよ?』
まぁ、怖くて漏らすのがオチだろうけど、とけなす雪里に、奏は食って掛かる。
『そんなわけないでしょ?
いいよ、入ってやるよ!
1人でも大丈夫だってトコ、見せてあげるよ!』
俺は、はぁ?、と深くため息をつき、冷静に告げる。
「騙されるな、奏。
雪里のハッタリだ。
あそこは2人からの入場しか許可してない。」
雪里は、なんで言っちゃうかなぁ?、とあからさまに悔しがる。
そんな雪里をギロリと睨み、ウザッ!と舌打ちをする奏を引っ張り、雪里から離れた。
引っ張られながら、どこ行くの?と訊く奏に、俺は短く、そこのお化け屋敷、と言った。
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