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バカか、オマエは。
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俺達は、文化祭閉会まで騒いだ。
と、言っても騒がしかったのは奏と雪里なのだが。
でも、俺は良かったと思う。
奏が、人に怯えることが、なかったから。
そして俺と奏は、雪里に絡まれなら3人で学校の近くのファミレスで夕飯を食べ、
無事に帰宅し、交互に風呂に入り、
いつものようにソファでくつろいでいた。
俺に引っ付きながら、ケーキがなんだ雪里がムカつくだなんだと、今日の出来事を語る奏。
無理をして行ったとは思えないほど、生き生きとした表情だった。
「楽しんだみたいで、ホントよかったよ。」
俺はそう奏に微笑みかけながら、疲れたし寝るわ、とソファから立ち上がる。
奏は、ボクも!と飛び跳ねて、俺の腕にしがみついた。
が、すぐにそれを解き、下を向きうつむいた。
あぁ、これは何かあったな。
そう思った俺は、無言で台所に行き、コップに麦茶を注いで、奏に渡した。
奏はコップを受け取ったものの、全く俺の顔を見ない。
訳を訊くべきか、そっとしておくべきか。
俺は悩む。
手渡したコップの中の麦茶が、小刻みに揺れる。
俺は、中間を、とった。
うつむく奏の頭に手をのせ、"言いたくなったら、話せよ"と言い、横を通り過ぎる。
ガシャン、と室内に響く音。
割れたコップ。
絨毯に滲み広がる麦茶。
奏の足から流れる血液。
「お、おい?大丈夫か?」
俺は何より先に奏に駆け寄り、ぼーっと立ったままの奏を軽く押し、ソファに座らせる。
走って洗面所の引き出しから絆創膏を取ってきて、奏の足の血を拭き取り、貼ってやる。
そして、割れたコップの処理をし、
絨毯に、応急処置代わりに何枚かタオルをひいた。
その間、奏は微動だにしなかった。
ただぼーっと真っ直ぐ先を見つめるだけだった。
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