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誰に何て言われようと。
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週末明け、月曜日。
俺は遅刻ギリギリで登校してきた雪里の肩を、ガッチリ掴んだ。
当の本人は俺の行動が理解出来ず、困惑した表情を浮かべていた。
クラスの奴らも、俺が雪里に絡む様子が珍しいらしく、驚きの声を上げた。
俺はそんなことは構わず、高ぶった気持ちを押し付けるが如く、口早に喋りだす。
「雪里!
オマエ、奏に勉強教え始めてくれたんだって?
ありがとう!
やっぱオマエは最高だよっ!」
飛び跳ねんばかりの俺に雪里は、キャラがっ!、と焦る。
ハッと気付き、謝罪をして、互いに席に着いて、ヒソヒソと話し出した。
『いいって。
頼まれたこと、してるだけだし』
「でも、本当に教えてくれるとは思ってなかったから。
オマエと奏、火と油だし。」
"いえいえ"と手のひらを振る雪里に、俺は微笑んだ。
ホント、恩に着るよ。
土曜日、早めに部活から帰った俺は、家に奏が居ないことに気が付いた。
まさか人攫いか、と焦ってケータイ片手に家中を徘徊してると、ニコニコしながら奏が帰ってきた。
もう少しで110番するとこだったんだぞ、と
奏が無事だった安心と、
連絡無しに外出した怒りで、
大人気なくも怒鳴ってしまう俺に、奏は微笑みながら言ったのだ。
"長谷川さんに勉強教えてもらえるようになったよ"と。
そして俺は、奏から一部始終を聞いたというわけだ。
俺はもう一度、雪里に頭を下げた。
いくら頭を下げても下げ足りないくらいだ。
そんな俺に雪里は、"そんなに奏チャンが大事かよ"と、口を尖らせた。
何言ってんだよ、と返そうと口を開こうとすると、
雪里が俺の首を絞めんばかりに巻きついてきた。
いや、この場合、"抱きついてきた"と表現するのが正しいのかもしれない。
なんにせよ、すごく息苦しい。
雪里のイスが、俺の机に当たり、ミシミシと音を立てる。
俺の首から下からも、バキバキと聴いたことのない音が鳴る。
俺は抵抗すべく、もがく。
「っ?
何だよっ?離せよっ」
『これぐらい許せ。我が友よ。』
「はぁ?」
俺達は、"離せ"、"ヤダね"を何度も繰り返す。
クラスの奴らは、"結局いつものパターンね"とシラけた様子で個々の支度をし始める。
いや、助けて欲しいんだけど。
これは第三者の力を借りなきゃ逃れられそうにないのだけど。
俺の首から、ビチビチと有り得ない音がする。
マジで助けて欲しいです。
そんなことを考えていると、教室の扉がガラガラと開いた。
担任が眉間にシワを寄せながら入ってくる。
担任、ナイス。
そう思ったのも束の間、担任は俺達を見つけるなり、さらに深く眉間にシワを寄せて、呆れた声を発した。
『お前ら、仲良しなのはいいが、性別を考えろ、性別を。
日本じゃ無理だぞ。』
担任、そういう問題じゃないだろっ!
つーか俺、雪里とそういう仲じゃねェーしっ!
雪里が"海外で挙式する予定です!"
と、腕の力を緩めた隙に、
俺は雪里の頭を思いっきり殴った。
雪里の呻き声と、
担任の、"ホームルームを始める"という渋い声が重なった。
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