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誰に何て言われようと。
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?奏side?
白い部屋。
白いベッド。
白いシーツ。
白い布団。
なんで保健室って、こんなに気持ち悪いくらい白いのだろう。
ボクは、柏崎から逃げた後の記憶が無い。
気付いたら、保健室のベッドに寝かされていた。
保健室の先生の話では、
廊下に倒れていたボクを、休憩中の運動部部員が見つけて担ぎ込んでくれたらしいけど、全く憶えがない。
"強いストレスかしら"と、先生は言っていた。
確かに、そうだと思う。
ボクは、柏崎八尋に再会したことで強いストレスを感じていた。
思い出したくないことを、無理矢理思い出させられたのだから。
先生が"暫く寝ていなさい"と言ってくださったので、ボクはそれに甘えて、休ませてもらっている。
正直、今の自分を、誰かに見せたくない。
特に、りっちゃんには。
「こんな弱った姿、見せられるわけないよ・・・」
結局、入試説明会にも参加しなかった。
制服も、なくなっちゃったし。
制服は多分、柏崎に燃やされた。
仮病で部活をサボりに保健室に来た生徒が、
"学校のどこかで火事があったらしい"
と、噂をしていたから。
その火事も、柏崎がやったのだろう。
あの人なら、やりかねない。
燃やしてなかったとしても、八つ裂きにしているだろう。
それくらいのこと、彼にとっては"遊び"と一緒なのだ。
離れてもなお、体の震えが止まらない。
心臓も、破裂しそうなくらいバクバクしている。
ボクは布団の中で、自分の体を抱き締めた。
"汚れた人"
その一言が、ボクの心を蝕んでいく。
知ってる。
知ってた。
分かってた。
柏崎に指摘されずとも、ボクは分かっていた。
知らないふりを、していただけ。
ボクは唇を噛み締めた。
悔しかった。
負けたくなかった。
逃げたくなかった。
でも、逃げてしまった。
過去の自分から。
変わると、言ったのに。
りっちゃんの手の甲に、誓ったのに。
ボクはもう、りっちゃんには会えない。
会っちゃいけない。
会う資格が、無い。
こんな、"汚れた"ボクは。
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