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誰に何て言われようと。
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その日の、
いや、正確には翌日なのだが。
まぁ、いい。
その日の深夜2時半頃、
俺は、ギシッというベッドが軋む音で目が覚めた。
寝た態勢のまま薄目を開けて真横を見た。
隣で寝ていたはずの奏が、居ない。
トイレだろうかと思い、数分そのまま待ってみた。
しかし、一向に帰ってくる気配がない。
俺は部屋から出て、隣にある奏の部屋のドアを開けた。
普段から整理整頓がされている室内が、一段とスッキリしていた。
階段を足音をたてないように静かに下る。
真っ暗な中に、ポツンと光が灯されていた。
台所のほうだ。
俺は静かにリビングに繋がるドアを開け、台所に立つ奏の背後まで近寄る。
"何やってんだよ?"と尋ねると、
奏はギクッとしたように背筋を伸ばし、ゆっくりとこちらを振り向く。
『りっちゃん・・・』
「何やってんだよ?
こんな時間に。」
俺は奏が手に持つ包丁を一瞥しながら、問いかける。
奏は気付いたように包丁をゆっくりまな板に置き、
"朝ご飯の下準備"と曖昧に笑う。
これは本当のことだろう。
調理台の上には、数々の食材が散らばっている。
一人分の。
「下準備にしては、微妙な時間にやってるな?」
『忘れちゃってて・・・』
奏の苦し紛れの言い訳に、
俺は、そうか、とだけ言う。
沈黙が、流れる。
先に口を開いたのは、奏だった。
『下準備じゃないよ?
りっちゃんの朝ご飯、作ってたの。』
言い訳の言葉が思いつかなかったのか、諦めた声で語る。
"内緒のつもりが、バレちゃった"
と、えへへと笑う。
俺はその無理に緩ませた頬を、強くつねりあげる。
「無理に笑うな。
そういうの、1番嫌いだ。」
奏から、表情が消える。
漆黒の闇に満ちた瞳が、俺を捉える。
『じゃあ、もっと嫌いにしてあげよっか?』
「は?
何言って・・・っ?」
突然頬に走る、激痛。
奏に平手打ちされたと認識した時には、俺の体は後ろに傾いていた。
ガンッ、と鈍い音と共に、後頭部に第二の激痛が走る。
起き上がる間もなく、奏が押し倒すように俺に覆い被さる。
トン、と俺の顔の横に手が置かれる。
漆黒の闇に一瞬、哀が映る。
荒々しく奏の唇が、俺の唇に、重なった。
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