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誰に何て言われようと。
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奏が泣き止んだ後、俺達は恥じらいながら事後処理をした。
最中は俺の中に存在していた様々な覚悟も、今はもう無い。
まぁ、過ぎたことをとやかく言いたくはないのだが。
それでもやはり、恥ずかしい。
一段落ついた俺達は、ソファに座った。
奏がモジモジ体を動かしている。
どうした?、というふうに首を傾げて顔を覗くと、奏は申し訳なさそうに口を開く。
『りっちゃん、ごめんね・・・?』
「だから、もういいって。」
『でも・・・っ』
「くどい。」
俺は、"でもでも"言う奏の頭をチョップする。
ホントに、もういいのだ。
拒まなかったのは、俺なんだし。
つーか、俺のが"ゴメン"なんだが。
奏にこんな悲しい顔をさせるために、受け入れたわけじゃない。
頭を抱えて俺を見る奏に、"大丈夫"と笑ってやる。
奏は一瞬ニコリとしたが、また暗い顔をする。
ややあって、奏が訊きにくそうに視線を逸らしながら尋ねてきた。
『りっちゃんは訊かないんだね・・・
ボクと八尋くんの関係。』
「訊かない。
オマエが話してもいいと、思うまで。」
俺は真っ直ぐ前を向きながら、
ぽん、と手を奏の頭に置く。
そっか、と奏は微笑した。
数分の沈黙の末、
俺は、そろそろ寝るか、と言ってソファから立ち上がる。
奏は座ったまま、俺のスウェットの裾を掴んだ。
『ボクの話、訊いてくれるかな・・・?
すっごく長くなるけど・・・』
「・・・いいのか?
話しても。」
辛くないか?、と訊くと奏は、
"りっちゃんだから、訊いて欲しい"
と微笑んだ。
俺は、"わかった"と言って、隣に座り直す。
『ボクのこと、嫌いになってもいいからね?』
「ならない。」
俺がキッパリ宣言すると、奏は、
"そうだったらいいな"と遠い目をする。
奏は目を閉じ、すぅ、と深呼吸をする。
そして、"どこから話そうかなぁ"と、
無理に明るい声を出して、話し出した。
俺は、奏の話を黙って聞こうと決心した。
そして、
奏が何を抱え、何に怒り、何を恐れ、何に苦しんできたかを知ったとしても、
絶対に奏を裏切らない。
そう決意した。
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