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たまには、な。
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制限時間になり、ボクはシャーペンをテーブルに置いた。
長谷川が、回答用誌をボクから受け取り、代わりにオレンジジュースの入ったコップを渡してくれる。
ボクへの気遣いなのか、日に日に休憩時間に出されるものが豪華になっていってる。
オレンジジュースをコクンと飲み、
長谷川の顔を見る。
今にも泣きそうな感じだった。
ボクは目を閉じ、すっごい不機嫌な声を作る。
「長谷川さん、ボクに何か不満でも?」
『いや・・・
不満っつーか、納得いかないっつーか。』
長谷川はテーブルに肘をつき、
両手で自分の顔を支えながら、ボクの顔を凝視する。
ボクはコップを置き、姿勢を正す。
長谷川が何を言おうとしてるのか、
想像はついている。
『いいよなぁ?・・・
律とクリスマスデートなんて。』
長谷川は独り言のように呟く。
嫌味ったらしく聞こえないのが、
なんかムカつく。
ボクはあえて返事をしなかった。
返事のしようがない。
下手にしても、自慢にしかならないから。
以前のボクだったら、ここぞとばかりに長谷川に自慢し、ケンカをふっかけていただろうけど、今は違う。
勉強を教えてもらう立場だからとかじゃない。
分からないのだ。
自分でも。
りっちゃんの言動が。
『そりゃさ?、奏チャンを1日1人にさせるのは忍びないけどさぁ?
だからって、なんで3人なの??』
"奏チャンとは2人なのに"と、テーブルに崩れる長谷川を、
ボクは少し、ほんの少しだけ、申し訳ない気持ちで見つめた。
ボクにだって、分からない。
りっちゃんが、ボクと2人で過ごしたい理由が。
3人で過ごすことについては、なんとなく想像つく。
でも、その次の日のことが、分からない。
りっちゃんは、何を思って言ってくれたんだろう。
ボクに、何を求めているのだろう。
りっちゃんは、あの夜のことを一切口にしない。
あの、ボクが過ちを、りっちゃんを無理矢理押し倒した、あの夜のことを。
ボクはあの夜のことを、りっちゃんに許して欲しいなんて思わない。
一生恨まれたって仕方ないと思ってる。
ボクの身勝手な、あの一方的な行為を。
でも、りっちゃんはそれを話題にしようとしない。
まるで、あれは"無かったこと"にしたみたいに。
それが1番、ボクには辛いこと。
恨んでもいいから、忘れて欲しくない。
無かったことになんて、して欲しくない。
修正のための機会なら、
ボクは、要らない。
りっちゃん。
ボクはキミが好きです。
世界中の誰よりも。
キミを愛しています。
だからこそ、考えます。
キミは・・・
「りっちゃんはボクのこと、
どう思ってるの・・・?」
長谷川の、
"それ、オレの前で言う?"
という発言を、ボクは聞いちゃいなかった。
?奏side? END
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