アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
たまには、な。
-
暖かい雰囲気の内装。
家族や恋人達のはしゃぐ声。
"イベント限定"の文字が並ぶメニュー。
テーブルに次々と運ばれてくるケーキ。
幸せそうに頬を緩ませる、奏。
「・・・それ、何個目?」
『ひぃひゅーふぉっふぉふぇ!』
奏はフォークを器用に使い、様々なケーキを平らげていく。
俺はテーブルに頬杖をつき、それをただ見つめていた。
25日、クリスマス。
昨日に引き続き、奏と2人で外出中。
約束通り、奏が行きたい所を廻っている、のだが・・・
「奏・・・元気過ぎ・・・」
俺のボヤきに、奏が"へ?"と、素っ頓狂な声を出す。
俺は"なんでもない"と、奏から視線を外す。
下げてもらっても追いついていない、皿の塔が目に入る。
今日の奏は、タフだった。
いや、正確には現在進行形なのだが。
まぁいい。
ともかく、俺達はかなり動いた。
まず、水族館で魚やらペンギンやらなんやらを見た。
奏は、"セラピー!"とイルカと戯れて上機嫌だった。
俺はクリオネの捕食を見て、"シュールだなぁ"としみじみした。
次に、スケート場に行った。
俺は久しぶりにやったから不安だったが、思ったより腕は鈍っていなかった。
初めてだという奏は、
"滑る"、"転ぶ"、"コケる"。
・・・一応、受験生だぞ?オマエ。
休む暇なく、次の大型ショッピングモールへ。
奏は、服だ、バッグだ、アクセだと、次から次へと店を出入りした。
俺は軋む体を引き摺りながら、奏の荷物持ちとしてついていった。
そして今、
奏の、"疲れた時は甘い物!"という言葉に従い、ショッピングモール近くのカフェに居る。
居るんだけどな・・・
『りっちゃんは、もう食べないの?』
次なる皿の塔を建設しながら、
奏が俺の手元を見て尋ねてくる。
俺は、"俺の分まで食べといて"と、
苦笑いをする。
"そっか"と、奏はエクレアをパクつく。
ホント、よくそんなに食べれるよな・・・。
カフェに入って、メニューを開いた直後、ウェイトレスが俺達に微笑み掛けた。
"今、カップル限定期間で、店内のスイーツ制覇したら無料っていうの、やっていますよ?" と。
多分、いや、大方、奏を俺の彼女だと勘違いしたのだろう。
俺は、"カップルじゃないし、そんなに食べられない"と断ろうとした。
しかし、
この白いの、"やる"って言ったんだよ・・・。
勿論、止めた。
俺の協力は期待するなよ、と。
でも、"ボクだけでも食べ切れるよ"と、奏はランランとするだけだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
89 / 124