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悪いかよ。
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俺は"俺が出る"と立ち上がり、
インターホンの画面を覗き見る。
誰も、いない。
"イタズラだった"、そう2人に告げようとすると、またインターホンの高い音が鳴る。
やはり、誰もいない。
俺は溜息をつき、玄関へ向かった。
2人は、特に奏は俺を止めた。
"危ないから"と。
だが、俺は"大丈夫だから"と押し切った。
廊下を歩いている内に、三度目の高音が鳴る。
これはもう、イタズラの度を越している。
俺は力任せに玄関のドアを開けた。
居た。
居るはずのない、奴が。
ヨレヨレの背広を着て、
ヘラヘラと笑いながら。
『律?!
はっぴー にゅー いやー』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
バタンッと勢い良くドアを閉める。
リビングから出てきた2人が、心配そうに俺を見つめている。
俺は、これでもか、という満面の笑顔を作った。
「やっぱ、誰も居なかった。」
『えっ?
でも・・・。』
奏が俺の背後を指差す。
カチャリとドアが少しだけ開けられる気配が、した。
しかし、俺はその指を握り、
"何も居ないよな?"と、念を押す。
俺の言葉に、奏はおずおずと頷く。
だが、その隣のバカが、目を丸くして叫び出した。
『あぁぁぁぁぁぁっっっっ?』
『あ!雪里くん!』
"やっほー"と、間の抜けた声が背後から聞こえる。
状況が読めず、おろおろする奏の横を雪里は通り過ぎ、
バカ同士で背後で抱き合う。
"久しぶり"、"元気だった?"など、
卒業以来会わなかった友達と街で偶然再開した女子みたいなやり取りが、なされていく。
それが俺のイライラを増長させる。
こめかみを指で押さえてみるも、
あまり効果はなかった。
俺は履いていたスリッパを片方脱ぎ、それで背広のバカの頭を殴り飛ばす。
スパンッ、という派手な音が、玄関を満たす。
奏が何事かと、さらにおろおろする。
雪里のバカは、大げさに、"ギャーッ"と叫ぶ。
うずくまる背広のバカを冷ややかに見下ろしながら、俺は不機嫌に口を開いた。
「何しに来た、クソ親父。」
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