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悪いかよ。
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換気のために全開にされた窓から、
冷たい風が入ってくる。
俺達は、本日分の掃除を終わらせようと、慌ただしく動き回る。
部屋の隅に鼻にティッシュを詰めたおっさんを放置しながら。
俺は、"これ"を粗大ゴミとして出そうと提案したが、
奏と雪里が全力で止めに入った。
"とりあえず、中に入ってください"と奏が親父に手を差し出し、リビングにあげた。
それを雪里が、"どっちが家主なんだか分からんねぇ?"と苦笑いしながらついて行った。
俺はその一連の動きを、溜息をつきながら見ていた。
掃除の途中だったから、リビングは埃っぽく、ぐちゃぐちゃな状態だった。
そんな光景を、親父は"スッキリしてる"と、目を輝かせた。
まぁ、腐海ん時しか知らない親父にとっては、"キレイ"なのだろうが・・・。
俺は上村家の恥を晒されてる気がして、微妙な気分になった。
そんな息子の気持ちを知らない親父は、カバーの掛かっていないソファに腰を下ろす。
"やっぱ、粗大ゴミに出してくる"
そう呆れた目で呟いて腕まくりをする俺を、またもや雪里が止めに入る。
奏が遠慮がちに箱ティッシュを差し出しながら、"もう少しお待ちください"と告げ、申し訳なさそうに部屋の隅へ案内した。
そして、今に至る。
雪里の"風呂場、終了?!"という叫びを合図に、俺の体から力が抜ける。
隅で手がパチパチと叩かれる音が、
妙に癇に障る。
俺は不機嫌に振り返り、親父の襟をひっ捕まえて、ソファまで引き摺った。
奏が、お盆に湯呑みを乗せて台所から小走りしてくる。
『あの、温かいお茶淹れました。』
『あ!、ありがとうございます。』
親父が湯呑みを受け取り、お茶を飲む。
"ほっ"とのほほんとした吐息が漏れ出す。
ホント、どこまで図々しくてマイペースなんだ、
この粗大ゴミは。
本来もてなす側の人間が、もてなされてんじゃねェーよっ!
雪里がリビングに駆けて来る。
それを見計らったように、奏が残り3人分のお茶をテーブルの上に置いた。
雪里は、"ありがとっ!"と素直に受け取ったが、俺は手をつけなかった。
そんな俺に親父は、
"せっかくの厚意、無駄にするなよ"
と、じっとりした目で見つめてきた。
誰の所為でこうなってるか、分かっちゃいないようだ。
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