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悪いかよ。
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数分経ってから、ボクは体を離した。
"ありがとうございます"と告げると、
聖也さんは"いつでもどうぞ"と、微笑んでくれた。
やっぱり、優しい人だなぁ
ボクの笑顔に安心したのか、聖也さんはボクの頭を一撫でする。
そして、何かを思いついたのか、
"あっ!"と、短く叫んだ。
怪訝そうに首を傾げるボクに、聖也さんはイタズラっぽく微笑む。
『面白いもの、見せてあげます』
「面白いもの、ですか?」
聞き返すボクに、何やら含んだ笑みを浮かべ、聖也さんはソファから立ち上がる。
そしてリビングのドアを開け、"少し待ってて"と楽しそうに出て行ってしまった。
そして、数分経ってから手に何かを持って、帰ってきた。
何かな?、と覗き見ると、聖也さんかそれを手渡してくれた。
「手帳?」
黒地のシンプルな冊子に、今年の年数がプリントしてあった。
聖也さんは、指を口に当て、
"律の"と、いたずらっぽく笑っていた。
すかさず、それを突っ返した。
いくらボクら2人の秘密事と言えど、
手帳を本人の許可無しには見れない。
そんなボクに聖也さんは、
"良い子だね"と撫でながら、ボクの膝の上に手帳を置いた。
これは、見ないとダメみたいだね・・・
ボクは内心で溜息をつき、
ペラペラとページをめくった。
りっちゃんの細く、でも見やすい字が、彼の予定を刻んでいた。
その中で、"雪里"の文字が目立つ。
やっぱり、仲、良いんだなぁ?
モヤモヤが、胸を侵食し出す。
ボクはそれを振るい落とすように、
ページをめくる指を早めた。
ピタッと止まる、指。
固い何かに当たったようだ。
慎重に見ると、それはシール帳のようなものだった。
手帳に挟むタイプの、薄く小さな冊子。
「あの・・・これ、」
『そこ。
そこからが、面白いんだよ!』
聖也さんの目が、"早く早く"と訴える。
ボクはおずおずと、その固い冊子をめくった。
目の前に広がる、カラフルで小さな四角。
その中で、りっちゃんが笑ったり変顔してる。
雪里さんと、一緒に。
ボクは堪らず、冊子を閉じた。
見て、いられなかった。
悲しげに俯くボクの膝から、手帳が抜かれる。
聖也さんが、プリクラ帳を開きながら笑う。
『良い顔だよね、この2人。』
「どこが?」
ボクは、イライラをぶつけるように吐き捨てた。
あっ、とすぐに頭を下げて謝る。
聖也さんは、"見てみる?"と、
お気に入りのものが貼ってあるページを開いてみせる。
ボクは、かなり葛藤してから、
すっ、と顔を上げた。
何が貼ってあっても、すべて受け止めようと決心したから。
「え・・・・?」
フリーズするボクに、聖也さんが、
"ね?"と、ニコニコ笑った。
目の前にあったのは、
クリスマスの、
ボクとりっちゃんの、
奇跡のベストショットだった。
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