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お茶会 6
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「ほら、いらないのか?」
そう聞こえてきた声で思い出した。
そうだ、今はこの間のルーシャの事より目の前のお菓子だ。
また食べられるなんて本当に嬉しい。
ルーシャにお礼を言ってからお菓子に手を伸ばす。
しかしそこで大きな声が聞こえてきた。
「こんにちはー! ルーシャ居る?」
この声はサシャだ。
ルーシャはお菓子を持ったまま急いで玄関へと向かっていった。
あ、お菓子が……もう少しで食べられたのに。
少しがっかりしていると、明るい声と共にサシャが入ってきた。
「人魚さん、こんにちは! 元気だった?」
にこにこと優しい声で問いかけてくる。
「ああ、元気だ。 今日は忙しくないのか?」
たまに来ても、顔だけ見に来たと言ってすぐに慌ただしく帰ってしまう。
「今日は忙しくないんだ。だから人魚さんとゆっくり会えるから嬉しいな」
そう言って近づいてくると風呂のふちに座って俺の顔をじっと見てくる。
「? 何だ?」
「ううん。元気そうで良かったなって」
そう言ってにっこりと笑うと、今度はルーシャの持っているお菓子のことを聞く。
「あ、これは俺が作ったものです。もしよろしければサシャ様も食べられますか?」
「わぁ! いいの? 甘いにおいがしてたから気になってたんだ。ありがとう! いただきます」
嬉しそうにお菓子を受け取るとぱくりと食べた……が、一瞬で眉間にしわが寄って困った顔になった。
「美味しいけど……かなり甘いね……」
「あ、そうでした。すみません……さすがに甘いですよね。この方が甘いのが好きなので甘くしすぎてしまいました……」
申し訳なさそうにそう言って俺の方を見る。
この方……。
いつもお前とか、おい、とかしか呼ばれないのに。
「てことは、人魚さんのために作ったの?」
その言葉にルーシャは、はっとした顔ですぐさま否定する。
「あ、いえ! それは……たまたま甘くなったと言いますか……」
もごもごと口ごもる様子に、「もー! ルーシャは照れ屋なんだから。 ね?」と言って俺にふってきた。
照れ屋……?
暑がりの間違いじゃないか?
不思議に思いながら首をかしげた。
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