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練習の日々 4
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「そうだな……。愛想笑いくらいは出来た方がいいか……」
「愛想笑いとは何だ?」
「相手の機嫌を取るときに笑うこと」
そう言う笑い方があるのか。
しかしいつ使うのか。
「相手の機嫌を取ってどうする?」
「お前なら、上手く使えば相手に自分の要求を聞いて貰えるかもな」
「それは便利だ。どう笑えば良いか是非教えて貰いたい」
面白そうだと思ってルーシャに聞くが、何故か嫌な顔をされた。
「乗り気だな。まあ、いいか。じゃあやってみるからまねしてみろ」
そう言ってルーシャがにこりと歯を見せて笑った。
いつもの少しだけ口角を上げるように笑う顔と違いすぎて驚く。
そういう顔も出来るのか。
いつもより幼く見えるな。
口に出すと怒りそうなので、心のなかで感心する。
しかし……何というか
「可愛いな」
あ、口に出さないつもりが、しまったと思ったときにはもう言ってしまっていた。
慌てて口を抑えたが、どうやらしっかり聞こえていたようで、笑顔から一気に眉がつり上がった。
「おい。人がせっかく笑ってやったのにその感想は何だ」
「い、痛い……」
頬をつままれて引っ張られた。
「悪かった。ちゃんとやるから」
そう言うと、やっと手を離してくれた。
可愛いのどこが気に入らないのか。
まぁいい、とりあえず先程ルーシャが笑っていたのと同じ表情を作る。
「どうだ?」
「あ、あぁ、なかなか上手いな。てっきりこういうことは下手だと思ってたのに」
ルーシャは驚いたように目を開いていたが、少しして首をかしげた。
「うーん、でも何となくこれだと似合わないな」
似合わないとはどういうことだと思ったが、ルーシャの次の言葉を待つ。
すると、何か閃いたのかまた真似してみろと言われる。
今度は先程とは違って少し伏し目がちで薄く笑う。
同じように真似してみれば、「おぉ、なかなか良いな」と褒められた。
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