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近所の子
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「にーちゃん」
俺は、“哲”が赤ちゃんだった頃から
ずっとずっと哲のことを知ってる。
そう、俺は哲の全てを知っている。
哲の身体のことはもちろんのこと、
性格や見た目、出来る範囲は全部俺好みに仕上げた。
哲は“近所の子”
といっても隣の家の子。
哲の家庭は、今だから言えるが悲惨なものだった。
哲は両親がいない。
いるのは祖母だけだった。
哲の両親は事故で死んでしまったらしい。
祖母は優しいひとだった。
だが、男から騙されることが多く金はいつもカツカツだったらしい。
だからまだ小さかった哲を保育園というものにも預けられなかったと言う。
だから哲は俺の隣にいた。
哲は俺を好いていた。
本当の兄貴のように慕っていた。
俺も哲の隣は居心地がよかった。
哲は俺を求めてくれる。
哲のさみしさを俺が埋めてあげるように
俺も哲に埋めてもらっていた。
俺はシングルマザーの母親と二人暮らしだった。
父親は自殺したらしい。理由は知らない。
けど、多分、父さんは母さんの浮気ぐせがいやだったに違いない。
父さんは寂しい人だった。
だから心を落ち着かせる場所がないこの家庭に愛想を尽かせ死を選んだんだろうが
俺には理解出来なかった。
なぜ俺を置いて行ってしまったんだろうか、と。
俺だってそのとき一緒に死にたかった、と。
当時の俺は強く強くそう思った。
父親が亡くなり、母さんの浮気ぐせはヒートアップしたようにみえた。
酷い時は俺を2階にやり、
家に男を上げ、セックスをやりまくっていた。
安い家だ。
その声は響きわたり、俺の耳にも当然届いていた。
俺は愛されていない。
けど、哲は俺を求めてくれた。
俺を愛してくれる。
この頃、俺の哲への愛情は黒く黒く
塗り替えられていっていたことを
俺はもう気付いていた。
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