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桜並木と金髪 .2
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桜side
「…にゃぁおぉ~…恐くないから、おいでぇ~…?」
桜が舞い散る青空の下…今、雨宮桜こと俺は格闘していた。
……猫に。
少し前に、木から降りれなくなった子猫を見つけ、
自分自身が動物好きだったためか…1年生の入学式には参加せず、今こうしていた。
白い子猫は、「シャーッ…」と鳴いてばっかりで中々来てくれない。
そんな中。
「あの~!この枝危ないですよ~っ!」
突然聞こえた声に、ビクリッと身体が震えた。
慌てて木の上で腕時計を確認すると、時刻はもう入学式が終わった後で。
自分の恥ずかしい姿を見られた事で俺は見事なまでに動揺した。
なにせ、俺は俗に言う不良(本当は喧嘩も嫌いだし、煙草も酒も駄目である)で、
そんな不良が桜の木の上で、
間抜けた声を出して子猫を助けようとしているのだから。
ミシミシと静に音を立てる木の枝に…
俺は気が付か付かず、後ろに体重をかけた瞬間、ついに木の枝が折れた。
「ひぁ…ッ…」
気が付いた時には既に遅く、俺の身体はそのまま下に落ちていく。
タイミング良く、子猫が腕の中に落下中収まってくれて、俺は痛みを覚悟して目を瞑った。
「ッ……うりゃ…!」
すとん。
落ちたのは、地面じゃなくて、人の腕だった。
上を見上げれば、艶のある黒髪…凛とした黒い瞳と、高い小鼻、整った薄い唇の
とても綺麗な顔をした男が俺を覗いていた。
どくん、と目があった瞬間、何故か心臓が跳ねる。
まるで心臓を鷲掴みされたような、そんな感覚と…
抱かれている腕や、触れている肌から伝わる暖かな熱と。
そんな未知の感覚に、俺は戸惑った。
そしてお姫様抱っこされている現状に、ふと気が付いて…
俺の頬がみるみる内に赤く染まっていく。
そして、恥ずかしさのキャパオーバーが起きて、
俺はソイツを殴って逃げてしまっていた。
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