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愛するのが怖くて .1
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那雪side
「那雪…大好きよ」
母親はいつも髪を撫でてそう言った。
父親はいつも笑っていた。
「父さん…母さん…ボクも、大好きだよ!」
幸せだった……この時までは。
中学1年の時、両親は殺された。
裏社会の人間だった両親は、とある組の頭だった。
死んだ理由なんてものは分からなかったけれど、ただ、憎くて。
両親の跡を継いで、がむしゃらに生きていた。
「ナユキ」
ふにゃりと笑う、花の様な笑顔。太陽の様な金髪。
死んだ両親の代わりの世話役、アネモネとゆう女は、よく笑っていた。
足下も覚束無い裏社会で、それは俺を癒してくれた。
今想えば、それが初恋だった。
だけど、初恋はやっぱり実らないもので、
その初恋は、最も最悪な形で終わりを告げた。
「…何でだよ、アネ…」
「命令だからですよ、ナユキ」
アネモネが…両親を殺した人間だった。
敵対する組の人間で、今までの全てが、任務だった…という事。
大好きだと笑う笑顔も、全部…偽物で。
3年間もの穏やかな時間は、小さな発砲音で終わりを告げた。
*****
輝く様な金髪を、優しげな顔を…あの時から、重ねていた。
自分の愛した人は、皆いなくなった…
だから、俺は…
人を愛するのが、怖い。
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