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幸せとその裏にあるもの .1
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桜side
「ねぇ先輩。動物園に行きましょう!」
突然の誘いに心が跳ね上がる。
動物が好きな俺にとって、動物園は夢のような場所だ。
「…行かない」
だけどつい言葉に出るのは否定文ばかりで、自己嫌悪に涙が滲む。
付き合い初めてからの那雪は初めての時と打って変わって、とても優しい…
密かに俺はそんな那雪に対して申し訳なさを感じていた。
「……先輩、素直じゃないの…俺好きじゃないです」
低いトーンで言われた言葉が胸に刺さる。
「…ッ―――――…!!」
置いていこうとする那雪の袖を俺は咄嗟に掴んだ。
嫌だ……離れたくない。
「……ッふぇ…なゆ……行くなょッ……」
真っ赤になりながら、必死に本当は行きたいのだと告げる。
“素直”になるのが恐い。本当の自分は寂しい甘えたがりの人間なのだから。
那雪は話を聞き終えると、はぁぁぁと溜め息を溢した。
「本当アンタ馬鹿だろ……」
そう言って俺を抱きしめる。
後輩の癖に身長が高いから、自然と肩口に顔を埋めてしまう。
暖かいそこは、俺の好きな場所で……
「那雪……行ってもいいんだよな?」
言葉を紡ぐ手助けをしてくれる。
「俺は先輩と行きたいんだよ」
蕩けるような優しい笑顔で笑い、サラッと那雪は爆弾を投下した。
「そうだ。意地っ張りな先輩には……お仕置きです(ニコリ」
「ぇッ…!ちょ、待て…ッ……ん、ふぁ……ッ…ふぅ……ん、んッ…ん……!!
なゅぅ…も、無理ぃ……!!」
キスしながらの脇腹くすぐりに、開始数秒で根を上げる。
那雪のキスは、身体が溶けてしまうぐらい気持ちいいのに、
敏感な脇腹を触られて身体が跳ねてしまう。
深く深く絡まる舌に、俺の身体は苦しいほどの快楽を感じ取ってしまって、
足に力が入らなくなる。
「…ッ……は…先輩、これはお仕置きなんですから、
そんな蕩けた顔しないで下さいよ」
「…んぁ……らって…なゅが……」
文句を言おうとしても舌が回らないから、舌ったらずの言葉しか出ない。
すがり付いた那雪を睨み付けると、那雪は顔を赤くした。
「これだから無自覚は……」とぼそぼそと言いながら、俺をまた抱き締めたのだった。
「……楽しみだね、先輩」
「……ぅん………」
今思えば―――――――…それはとても、幸せな時間だった。
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