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絶望と希望.1
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桜side
「…ッ…ぁ、あ……ひぅッ…!!」
パンッ!パンッ!と肌をぶつけられ…奥底に吐き出された熱と、
見知らぬ男の小さな喘ぎ声に、あぁ…やっと終わったんだと思った。
気持ち悪い。
「はぁ…はぁ…桜ちゃん…可愛かったよ」
「………また、来てくれる…?」
気持ち悪い。
気持ち悪い。
必死に作った笑顔で、先ほどまで熱を交わした客を見送る。
出ていったのを確認して、
ユニットバスに飛び込んで、胃酸が出るまで吐き続ける。
それからシャワーを浴びて消えないって分かっていても、何度も身体を洗った。
ユニットバスから出た後、店の先輩に呼び出され…
俺は重い足取りでスタッフルームに向かう。
そこには、“仕事”を始めてから、
何度も助けてくれた、白羽 遥(シラバネ ハルカ)という青年がいて、
「……桜君、大丈夫…?」
と、心底心配そうに聞いてきた。
「……ッ…だい…じょうぶ…です。心配…しないで…下さ……ッ…」
ここ数日で張り付いた、嘘の笑顔を向ければ、白羽さんは泣きそうな顔をして。
ぎゅ…と俺を抱き締めた。
抱き締ている腕が震えている。白羽さんは、優しい声で、
「…桜君、君はやっぱりここにいちゃいけない。
那雪…君かな、何度も君が眠りながら泣いて呟いていた人。
……大切な人なんだろう…?彼と共に逃げなさい」
そう告げられて。
涙が溢れた。
ーーー…でも…
「無理なんです…俺は…逃げれない…ッ…逃げたら…俺が逃げたら…
那雪が死んじゃう…ッ…!!」
恐くて。恐くて。
那雪があの父に…赤蜘蛛に傷つけられるのが、
………那雪が殺されてしまうのが。
「……ッ…桜君、俺ね…この店のオーナー…蔵根さんが好きなんだ…」
「…銀縁メガネ…?」
「ぅん…だからこの世界に望んで入った。あの人の近くにいるために…ね
でも君は違う…」
「…ッ……」
「我が儘だって分かっている。
でも俺は……これ以上君が傷つくのを見ていられない。
那雪君に会って、助けを求めるんだ。
君が汚れてまで守ろうとしたんだろう…?もう、これ以上汚れなくて良い」
「行きなさい。
蔵根さんは僕が何とかするから」
優しく、力強くそう言われて、涙を流しながら俺は頷いた。
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