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絶望と希望.8
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那雪side
「…笠木・芝澤、話は後だ…」
「若ッ…罠なんだぜ!?行こうとすんな…!!」
奥歯を噛み殺しながら桜の下に行こうとすると、笠木に肩を掴まれ止められる。
その手を怒りのままに振り払うと、芝澤が腕を掴んだ。
「行くのは駄目だぜ…若…ッ…
俺達、組の者にとっちゃあ…誰よりもアンタの命が大切だ」
笠木と芝澤の気持ちは痛いほど分かっていた。
それでも…俺は。
「…ッ……やっとなんだ。守れるだけの力も今ならある…
桜は…俺にとって自分の命より大切だから、行かなくちゃいけない…ッ…
だから、放せ」
桜を守りたいから…例え自分の命を引き換えにしても。
「…そんなに天宮 桜が大事なんですか…ッ…」
「若ッ…天宮 桜の母親はーーー…ッ…」
「うるせぇッ…!!お前らが止めようが俺は行く…
付いてくんじゃねぇぞ。死ぬだけだ…」
俺は二人の言葉を遮るように叫び、歩き出す。
*****
那雪が出ていってすぐ、動いたのは芝澤だった。
部下達に指示を出し…今いるだけのメンバーで武器を装備して、那雪の後をつけた。
「…まったく。若も困り者ですね…」
芝澤が困ったように拳銃を装填しながら笑う。
「まっ…若のあの目だ。必ず生きて帰ってくるさ…だから俺達は、」
笠木もそうだな、と笑いながらナイフと拳銃を服に仕舞った。
後ろに沢山の部下達を連れながら、二人は声を合わせて、
「「全力で若のサポートをするだけだ」」
そう言って歩き出した。
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