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壊レタココロ.3
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桜side
「…ッ……那、雪…?」
目の前の人物は、那雪な筈なのに…俺は疑問符を投げ掛けてしまった。
俺の知っている那雪じゃない。
氷よりも凍てついた瞳。
静かに怒りを灯した表情。
俺の知らない顔をした那雪は、次々と立ち塞がる蔵根の部下を沈めていく。
足の関節・肩・腕の関節を重点的に狙い、動脈を外しながら拳銃で撃ち続けた。
那雪の白いTシャツが、段々と帰り血で赤く染まっていく。
「桜を返せ」
いつの間にか取り巻きを全て捩じ伏せた那雪は、ゆっくりと…
男達の精液にまみれて汚れた俺の前に立った。
「なゆ――――――…ッ…!!」
俺は震える足を叱咤しながら那雪の下に向かおうとした。
が、後ろから髪を引っ張られて………蔵根の拳銃が頭に突き立てられた。
「……ッ…ぅ………」
「はははッ……志藤 那雪………!!
お前は、この男が誰の血を引いているのか知っていのか?
この金髪を見ても分からないか……?」
後ろの蔵根が叫んだ。
そして初めて那雪の表情が困惑したそれに変わった。
「……ッ…まさか………」
「――――――…コレはな、お前が殺したアネモネの一人息子だよ」
「「……ッ…!?」」
アネモネ……が……母さん?
母さんを……那雪が殺した……?
「………嘘…だろ…」
「嘘じゃない……お前の母親はな、那雪の両親を殺した人間だ。
本来であれば、志藤 那雪………お前も含めて殺される筈だったんだよ。
けれどアネモネは……お前を殺さず、それどころか守ろうとしたんだ……ッ!
そして最後……ッ…命がけで守ってきた者に………殺された……」
嘘だと、違うのだと………震える声で否定しても、現実は容赦なく俺を切り裂いた。
そして……那雪のことも。
「だから俺はッ……!!俺の太陽を殺したお前を許さない………ッ…!!
お前の大事な者を全て壊して、天宮 桜を殺して……!俺がアネモネを手に入れるんだ!!」
「テメェ……ッ…!!」
那雪と蔵根が拳銃を向け合う。
その時、俺は那雪の側にあった金属の板を見ていた。
ユラリと映る人影。
後ろから聞こえた微かな金属音……
「――――――那雪ッ…!!」
精一杯の力で蔵根の腕から逃げ出して、那雪を押し倒す。
ほぼ同時に発砲音が鳴り、自分の背中に激痛が走るのを感じた。
肉を引き裂きながら、俺の身体に入り込んでいく鉛の玉。
ゴプッ……と耐えきれず血を吐き出し、驚愕に目を見開く那雪の顔を見ながら………
ゆっくりと地面に身体を打ち付けた。
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