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この手に残った温もりは② 笠木・芝澤side
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天宮 桜が若を庇って撃たれた後…
蔵根は茶髪の青年と共に消え、消息を絶ったままだった。
そして、赤蜘蛛の部下達にも見放された男、天宮 葛典(あまみや くずのり)は、
腕に2発の弾丸を受けて…仕方なく、狼月会が介抱することになった。
「…ッたく、赤蜘蛛も嫌な土産物置いていきやがって…」
笠木と芝澤が渋い顔をしながら病室に向かう。
知らず知らず唇を噛んだ。
自分達がもっと早く動けていれば、
これから会うクズに撃たれて天宮 桜は重傷を負う事はなかったと。
「若…死にそうな顔をしていた…」
笠木の拳が震える。
シマを出た俺達は、若の所に着く前に赤蜘蛛の妨害を受け、足止めを食らっていた。
なんとか相手を沈めて向かった先には、重傷の桜とあの時と同じ姿の那雪。
「…ッ…クソッ!!」
両親の死を目の当たりにして力無く震える那雪を、もう見たく無かったのに。
桜が重傷を負った時、笠木達が見た那雪はあの時と同じで。
苛立ったままに二人は病室の扉を開けた。
「………よう、天宮 葛典」
全身を拘束されても尚、ベットの上で暴れる男を冷やかな声で呼んだ。
「~~…ッ!!」
葛典の口にはまっていた猿ぐつわを外すと、耳を塞ぎたくなるほどの暴言が飛ぶ。
「ふざけんなッ…外せ!!
…このクソが!何で俺がこんな目に会わなきゃいけねぇんだ!?
畜生…全部あの女のせいだ…ッ…あの女のせいでッ…!!」
ブツブツと全員殺してやると呟くクズ野郎に、二人して溜め息を吐いた。
芝澤がポケットから銀色の変な形をしたソレを取り出すと、
クズの顔が強ばる。
「赤蜘蛛の情報…根こそぎ聞かせて貰うぞ…?」
「お前には局所麻酔しかしていないからなぁ…ははっ…楽しめそうだ…」
「…ッ……止めてくれ…頼む…止め…ッ……!!」
「無理だな」
ゆっくりとソレを爪に嵌めて、
芝澤は薄ら笑いを漏らしながら力強くソレを叩いた。
「ッ…ぎぁぁあぁぁあッ…!!!」
静かな病室内に、クズの悲鳴が鳴り響いた。
*****
天宮 葛典から赤蜘蛛の情報を聞き出すのはビックリするほど簡単だった。
葛典は以外にも、赤蜘蛛を抜けようとしていたようで、
重要な情報を大量に入手していった。
それを元に笠木と芝澤はどんどんと組を潰していく。
愛する家族の一人を傷つけた人間を、組を、許す事など出来はしなくて。
執念じみた二人の力によって…赤蜘蛛はこの街から消え去った。
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