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言えないコトバ② 桜side
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次に目を覚ました時、那雪は居なかった。
目覚めて直ぐに行った検査の結果、
声が出なくなった原因は心因性の障害と診断された。
アキという女性の医師がオペから何やらやってくれたらしく、俺は何度も頭を下げた。
「ほんと、桜君はヤンキー臭くないなぁ~…」
ウチに来る怪我人はみんなムサイと笑うので、釣られてはにかんだ。
すると、ピタリとアキの身体が止まる。
数秒後…はぁぁぁと息を吐いたアキが、独りごちた。
「あの笑顔は殺人レベルで可愛いわ…
志藤ん所の若頭が惚れる理由も分からんこともない…ヤバイ…可愛いすぎ」
俺にはよく聞こえず、コテンと首を傾げるしかなかった。
「そーゆう、あざといの…無意識でやっちゃ駄目だぜ?襲われるよ?」
すっ…と頬に手を添えられ、段々とアキの顔が近づいていく。
キスされるッ…!?と思わず目を閉じた瞬間、
ドアがバタンッ…!!と開き、聞き慣れた声が聞こえた。
「このキス魔ッ…!!桜を放せッ…!!」
ドアを開けたのは、必死な形相の那雪で。
那雪がアキと俺を引き剥がした瞬間、
俺に触れた那雪の腕が、黒く覆われて崩れ落ちたように見えた。
「ーーーーッ…!?」
『オマエガノゾムタビ、マワリハコワレテク。
オマエガ、シアワセニナンテナレルワケナインダヨ、キタナイ、オマエガ』
また、黒い誰かの声が聞こえる。
嫌だ…止めてくれ。
恐い。
「ッ…ぁぁぁッ…!!」
酷く掠れた小さな悲鳴を上げて、俺は那雪の腕を振り払った。
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