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甘々主人3 (sideアーサー
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「……だから今後はユーリに近寄るな。近寄ったら……わかってるな。」
「…………わかった………」
アドルフは渋々といった様子で頷き俯いた。
リザは何かを訴えるような視線を向けてきたが目で拒否をする。
拒否権など与えるはずがないだろう。
しばらく部屋は沈黙に包まれ、ふいに小さなノックの音が聞こえた。
「入れ。」
「…失礼します。パイが焼けました。」
「……そうか。」
ユーリに目配せをすると、ユーリの目が少し輝いたのがわかった。
可愛い。
「行くぞ。」
しかし、立ち上がり部屋を出ようとするとユーリがアーサーの袖を控えめに引っ張った。
「………何だ?」
「あ…っ………ごめんなさい……あの………アドルフさま、の……ぶん…は……」
「……は…?」
「っ…………ぁ……あっぷ……えと……」
「……アップルパイ?」
「っ……そ、そう……です……」
「そんなもの…あいつには…」
ちらりとアドルフに目を向けると、ユーリの言葉に少し驚いたような様子でこちらを見ていた。
「みんな…で…食べたほうが…おいし…です……」
「…それはそうかもしれんが……」
「…み、みんな…で………」
「っ〜〜〜〜!わ、わかった…」
困ったように上目遣いされて断れるはずがあろうか。
否、断れるはずがない。
「アドルフ…来い…」
「近寄っちゃダメなんでしょ…」
「チッ………今だけ許してやるから早く来い…!」
「………はーい…」
アドルフはどこか複雑そうな顔をしながら返事をすると椅子から飛び降りた。
ユーリとアドルフの距離を離しながら部屋を出る。
当然だがあまり近づけたくない。
「あっ、ぷるぱい……楽しみ…です…!」
「あ、あぁ……」
「…たかがパイだろ…ほとんど毎週食べてるよ僕は。」
つまらなそうに言い放ったアドルフを見下ろす。
「アドルフ。」
「っ………わ、わかってるってば。」
どうやらこいつもやっと空気が読めるようになったようだ。
アーサーは得意げに鼻を鳴らすと、弾む足取りで隣を歩くユーリが転ばないように手を握った。
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