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朝
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すやすやと眠るユーリのサラサラの髪を優しく梳く。
初めて見たときに少しくすんでいた髪は、今やキラキラと輝き朝日を眩しく反射させていた。
「……ん……むぅ……」
一瞬くすぐったそうに歪んだ顔はゆっくりと瞼を開かせ、その奥に髪色と同じ瞳が現れる。
「……起きたか。」
頬を撫でると、その手に甘えるようにすりすりと頬を押し付けてきた。
甘えるユーリの破壊力といったらない。
「………あーさーさま。」
「……ん。」
「…おはよ……ごあいま…ふ……」
「………。」
朝の挨拶の途中で再び眠りについたユーリを起こす気にはならなかった。
平和な朝だ。
「……あれ……アドルフさまは……」
ようやく起き上がったユーリの手を引いてダイニングに行くと、アドルフの姿はない。
当たり前だ。
今朝早くに家に帰したのだから。
「…アドルフは帰った。もともと今日までの約束だったからな。」
「…あ………そ、そうですか……」
「そんなことはいいから席に座れ。折角の朝食が冷めるぞ。」
「は、はい……」
ユーリは少し戸惑いながらもいつもの席に座った。
フランスパンを頬いっぱいに詰め美味しそうに食べるユーリに、アーサーは笑みが漏れる。
ハムスターのようだ。
「…傷は痛むか…?」
「……?」
「…昨日の……アドルフにやられた……」
「あ、だ、大丈夫です…!そんなにいたくないですから…!」
「………………………」
そんなに、ということは少し痛むということか。
まぁ…あれだけ散々やられたんだから当たり前か……
「で、でも俺…アドルフさま…嫌いじゃないです…」
「……?」
「アドルフさま…きっとアーサーさまのことが大好きです…お、俺も…好きだから……」
「っ………」
思いもよらない言葉に一瞬表情が固まったアーサーに、何を思ったか、ユーリは悲しそうに笑った。
「あ、お、おれの勝手なきもちです………ごめんなさい……」
「……、……私も……私もお前のことは気に入っている…から、謝ることはない。」
ユーリはアーサーが照れながらも言った言葉に、ボンッと湯気が出そうなくらい赤くなる。
「ぁ………あ、い、…あ、ありがとうございます…………」
「…いや……」
平和な朝だ。
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