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1人2 (sideアーサー
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「…………………」
「………………………」
「……………………………」
…全く集中が出来ない。
目の前にある窓の向こう側には、さぞ楽しそうに1人で遊んでいるユーリ。
アーサーの視線に気づくと、遠目にでも嬉しそうに笑っているのがわかった。
先ほどからずっとこの調子だ。
ユーリが気になって仕事が手に付かない。
アーサーは頭を抱え項垂れる。
「………どうしたものか。」
カーテンを閉めるなんてことは論外であるし、かえってユーリが気になってしまう。
かといってこのままだと仕事が進まない。
「……チッ………」
仕事は午後にしよう。
「ユーリ。」
「ぁ、アーサーさま…!」
「…お前があまりに楽しそうだったからな…天気もいいし出てきてしまった。」
「あ、ご、ごめんなさい…その…」
「いや、たまにはいいだろう。」
そう言って少し戸惑っているユーリのそばに座り込むと、ユーリの手の中に花冠が握られているのに気づいた。
「…また作っているのか。」
「あ、えと…あの……アーサーさまに教えてもらったから…忘れないようにって思って………」
「そうか。」
「は、はいっ」
黙々と花冠を作るユーリの横顔は至極真剣で、少し笑ってしまった。
「ぇ…ぁ……」
「…いや……お前…変な顔だな。」
「っ、え……」
「…いい意味でだ。」
酷く傷ついたような顔をしたので、直様言い直す。
危ない。
気を抜くとすぐこれだ。
「……花は好きか。」
「す、好きです!あの、アーサーさまにいただいて、あの、とても可愛くて!」
そんなこと言ってるお前の方が可愛いがな。
とはもちろん言わないが。
「………今度新しい花を買いに行こう。お前の知らないものがたくさんあるぞ。」
「………!ぁ、ありがとうございます…」
ユーリは小さくそう言うと、機嫌良さそうに鼻歌を歌いながら再び花冠を作り出した。
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