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手紙 (sideアーサー
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こんにちは、アーサー。
手紙を書くのはいつぶりかしら。
病気にはならなかった?
御両親は相変わらず海外を飛び回ってらっしゃるのでしょうね。
週末、アーサーのところに行くわ。誕生日でしょう?
久々に会いたくなってしまって……。
お父様にも外出の許可を頂いて、もう荷物もまとめてあるの。
そうそう、最近お菓子作りにはまっていて……お城のオーブンを使わせてもらいたいわ。
アーサーにとびきり美味しい誕生日ケーキを焼いてあげる。
楽しみにしていてね。
貴方の恋人、エイダより。
アドルフが帰ったと思えばこれだ。
次から次へと………私の城は集会所ではない。
あの女もあまり好かない人間だ。
アドルフといいエイダといい……私は基本我儘な奴が嫌いだ………
くしゃり、隣で眠るユーリの頭を撫でる。
親指を唇に当てて幸せそうに眠る姿は、らしくもない言い方をするとまるで『天使』だ。
愛らしい。
「週末……か…」
いくら苦手だからと言えど粗末な扱いをするわけにはいかないことぐらいわかっている。
仮にも婚約者だ。
それなりのもてなしをしなければならない。
が……
「………ん……ぅ………?」
今はそんなことはどうでもいい。
薄く目を開けたユーリは小さな手で目をゴシゴシと擦りながらもまだ眠そうに唸った。
擦れた声が耳に心地よい。
「…随分と長い昼寝だったな。もう夕食だ。そろそろ行くぞ。」
「………………?…………あっ……ご、ごめん…なさい……おれ……!」
覚醒したユーリは大きな目をぱちぱちと瞬かせベッドから跳ね起きる。
「慌てるな。大丈夫だ。」
「ぁ…の、…でも…アーサーさま…おれ……待たせて……」
「大して待っていない。ほら、前がはだけているぞ……」
「ん……ごめんなさい………」
ユーリは申し訳なさそうに俯いたが、手招きをすると大人しく寄ってきた。
ワイシャツの襟をきちんと正しボタンを閉めてやる。
「……よし。」
「ぁ、ありがとうございます……」
「身だしなみは常に整えておけ。私はだらしない奴は嫌いだ。」
「…はい………ごめんなさい………」
本当は『そんな無防備な格好で寝るな』と言いたかっただけだが、まぁ…こういうのはこのくらい強く言っておいた方がいいか…。
「……次から気をつけろ。ほら、行くぞ。」
「あ、は、はい…!」
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