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シンデレラ
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「寝られないのか。」
ずいぶん前にベッドに入ったが、ユーリは先ほどから絶えず寝返りを打っていた。
声をかけると、ユーリの体がピタッと止まる。
「っ……ぁ……ご、ごめんなさい……」
「…昼寝したからな…仕方ない……」
アーサーは少し思案した後、ベッドから体を起こしメイドを呼んだ。
「…はい。」
「…ユーリに蜂蜜入りでホットミルクを作ってやれ。」
「どうだ?」
「あ、まい……おいしい…です…」
「そうか。」
暖炉の前でミルクを飲むユーリをぼうっと見ているとノックの音がした。
首だけで振り返ればアリアがドアの隙間から顔を覗かせている。
「……あの…これを……」
そう言ったアリアの手の中にあったのは絵本だった。
「……『シンデレラ』……?」
「はい…!」
「…………………」
「…………………」
「………………これを私にどうしろと?」
「……あっ!ユーリのための……」
「………、……あぁ……そうか。読んでやってくれ。」
「いえいえ!アーサー様が読まないと!絶対!」
「………?」
「これを読めばユーリがアーサー様に懐くかもしれないじゃないですか!」
「!!」
「頑張って下さいね!!!」
ドヤ顔で親指を立てながら出て行ったアリアの態度は主従関係上どうなのか本来言及すべきものかもしれないが、今回ばかりは感謝した。
ユーリの方を見るとミルクを飲み終わったのかパチパチと跳ねる暖炉を見つめている。
「……ユーリ、来い。」
「……はい。」
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