アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
絵本 (sideアーサー
-
「『でも気をつけなさい。12時には魔法が解けてしまうから…』……おい……いつまで起きてるんだ……」
本から目を離しユーリに問いかけた。
「あ、アーサーさま…つ、続き……」
ユーリは眠るどころか続きが気になってしょうがないといった様子で、大きな目をキラキラと輝かせアーサーを見つめている。
「………はぁ……『…するとたちまちカボチャは馬車に変わり、シンデレラはカボチャの馬車に乗って……』」
「『そしてシンデレラは王子様といつまでも幸せに暮らしました……』」
お決まりの言葉を言い切り、パタン、と分厚い絵本を閉じた。
正にシンデレラストーリーだが、この歳になって読み返してみると中々面白い場面もある。
「『まほうつかい』さんってすごいんですね…!」
笑顔のユーリの頭を撫でてやると、ユーリは上機嫌でその手の下で笑った。
「…あぁ…そうだな、魔法使いはすごいが………そう簡単には出てこない。奴らはいつもどこかに隠れている。」
「!…何でですか…!?」
「もし魔法を悪い奴らに使われたら困るだろう?だから本当に危ないときにしか使わない。」
「へぇ……!かっこいい…です…!」
「…そうだな。」
こんな単純な嘘を本当に信じているユーリが可笑しく、少し笑みがこぼれた。
「?」
「…………いや、なんでもない、気にするな…ほら…いい加減もう寝ろ…。」
「???」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
75 / 207