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嵐の前の
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2冊目の本を読み終わり、アーサーはユーリの頭を撫でながらゆっくりと話し出した。
「ユーリ、さっきも話したが……予定通りなら週末……つまり明日、私の婚約者が来る。」
「はい。」
「……いつまでいるのかわからないが………アドルフのように…ならないようにしたいと思っている…。だから…明日からはずっと私の側にいろ…。」
「…、……はい…。」
あのときの事件で、ユーリは1人になるのが怖くなったことを知っている。
それに、あまり自分から離れさせたくないという思いもあった。
アーサーは自分の膝の上で姿勢を正しているユーリの頭を片手で抱き寄せる。
「………私が…守ってやるからな。」
「……、……ありがとうございます……」
「……次は何を読んで欲しい?」
「…アーサーさまが読んでくださるなら…」
「『何でも』か?」
「はい…」
「…なら…そうだな…………次は……」
アーサーは何冊も、時間のある限り絵本を読んでやった。
ユーリも楽しそうに、ときどき質問を挟むだけで、アーサーの朗読に静かに耳を傾けている。
静かな昼だった。
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