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「あぁほらやっぱり…!似合うわ…!」
「……まぁな……そりゃ…3時間も悩んだ末に似合わなかったらシャレにならん…」
部屋から出てきたアーサーは、白いタキシードに身を包み苦しそうに蝶ネクタイを外した。
「どうして外してしまうの?」
「客を呼ぶわけでもないからな。あまり窮屈なのは好かない。」
「ダメよ、私は立派な客人でしょう?ほら、着けて頂戴。」
エイダはアーサーの手から蝶ネクタイを取り上げると、少しキツめに結び直す。
アーサーは「やれやれ」といった様子で早くも抵抗をやめ、大人しくエイダの好きにさせることにした。
「あ、見て…ほら、アーサー様…」
「あ〜んかっこいぃ」
「ちょっとどいてよ…!」
「私も見たぁい」
「………………………」
すれ違うメイドたちは普段見ることのないアーサーのタキシード姿に振り返り、うっとりとした表情を浮かべている。
「あなたたち!パーティの準備は終わったんでしょうね?」
「あっ…」
「、やだちょっと…ほら早く…!」
「すみませんただいま…!」
それを我慢出来なくなったエイダが睨むと、蜘蛛の子を散らすようにそれぞれの持ち場へ逃げ帰って行った。
「まぁそう言ってやるな。急にパーティの用意をするなど…彼れらはよくやっている方だ。」
「私の屋敷のメイド達なら、2時間とかからないわね。」
「……これはまた……たまには労ってやってくれ……」
・・
「あら、使用人…特に奴隷にはあんなに厳しかったアーサーが…一体どういう風の吹き回しかしら?」
「…、……ユーリを…見ていると………あぁ、そうか、ユーリの様子を見に行ってやらねば…」
「……いいじゃないの、きっとあの…アリア?だったかしら?その子が看てくれてるわよ…」
「そういう問題ではない。私は……」
「折角婚約者の私が来ているんだからもう少し一緒にいてくれてもいいんじゃないかしら…?」
「…………………」
「ねぇ、アーサー…」
やけに身体を密着させてくるエイダに、アーサーは静かに目を閉じ顔を逸らした。
「…わかった…そうだな…ユーリのことはアリアに任せよう…」
首に回されたエイダの腕からすり抜けるようにして体を離す。
離れていく背中に、エイダの何ともいえない視線が刺さっていた。
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