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商人の手を掴んでいたのは
アーサーだった。
「………ヴィンセント郷…?」
男は掴まれた腕とアーサーを交互に見る。
「……醜いぞ奴隷屋。目障りだ。
さっさとそのグズをつれて行…………」
ふと、下を見やったアーサーが口を噤んで固まる。
その視線の先にはアーサーを見上げる美しい 顔があった。
アーサー様と目があった。
強くて綺麗な…深い色の宝石みたいな目。
ユーリはヒリヒリする頬を押さえながら見惚れていた。
アーサーもユーリを見つめたまま動かない。
涙の浮かぶユーリの顔は、妖美なまでに美しい。
「…ヴィンセント卿…?どうしました…?」
黙ってしまったアーサーの顔を商人が覗き込む。
「……?…アーサーさま………?」
流石のユーリも、その強い目に射抜かれたままで居心地が悪くなったのか声をかける。
「………………………………。」
するとアーサーは無言で商人の手を離すと、 ユーリの方へと向かってきた。
(な、何…何…?)
ユーリはとっさに頭を抱えてうずくまる。
「…………ぁ…」
ユーリなりの防御だったのだが、あっという間に腕を引かれて立たされる。
しかし、心なしか腕に込められた力が優しかったような気がした。
そのまま何も起こらず恐る恐る顔をあげると、すぐ近くにアーサーの顔があった。
近くでみると、やはり噂通りの美形だ。パーツが整いきっているその顔に息を飲んだ。
凝視していると、顎を掴まれ、上を向かされる。
「っ……………!」
「………………貴様、名前は?」
「………150番……です……。」
「番号ではない。名前だ。」
ユーリは一瞬戸惑ったが、名前を告げた。
「………ゆ…ユーリ…です…。」
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