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特別な日
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「ドア、開けるからね。」
足元を見つめていたユーリはアリアの声で我に返った。
小さな胸を目一杯膨らまし深呼吸をして目線を上げる。
開かれた扉の向こうに、驚きの表情を浮かべるアーサーが立っていた。
「…、…ユーリ…?…体調を崩したのでは…なかったのか…?」
「…ユーリがアーサー様にサプライズでプレゼントを用意したいと言ったので……」
「…謀った訳か。」
「も、申し訳ございません…その……」
そう言って自分の横で頭を下げるアリアに、ユーリは悲しそうな顔でアーサーを見上げた。
「あ…アリアさんは悪くない…です…おれ、が…アーサーさまにお花をって…言った…から…」
「…………」
「とくべつなひ…は…ぷれぜんと…するって…アーサーさまが…だから…おれ…………」
アーサーは額を押さえて俯く。
「…はぁ…………どうしてお前はそう………」
「ご…ごめんなさい……」
項垂れるユーリに、アーサーはもう一度ため息を吐くと縮こまってさらに小さく見える体に手を回した。
「あっ………」
「…………」
突然の圧迫感に、ユーリは一瞬何が起きたのか理解できず停止する。
が、アーサーに抱きよせられていることに気づいた途端、ユーリは軽くパニックになった。
「…っ…え、あっ……ご、ごめんなさっ…お、おれっ……」
「、違う、ユーリ…違う……」
「?????」
いよいよわけがわからず唖然とするユーリを、アーサーはさらに強く抱きしめた。
「…………………う、嬉しい……のだ…私は…」
「…………え……?」
「私のために…、……ありがとう……」
アーサーはここにきてやっと感じたのだ。
今日が自分にとって特別な日であることを。
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