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本音は
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「アーサー!アーサー起きてちょうだい!」
「………、………」
数時間前に既に起きていたであろう声に部屋の置き時計を見ると、まだ7時だった。
アーサーは親指と人差し指で両目を擦りながら声の主を見上げる。
「…なんだ…エイダ、まだこんな時間だぞ……」
「出かけたいのよ。支度に時間がかかるでしょう?ほら、早く起きてちょうだい。」
アーサーを急かすようにエイダは手を振った。
部屋に響くエイダの無遠慮な金切り声に、ユーリものそのそと起き上がる。
「……?」
「…お前はまだ寝てて良い…私は出かけてくるから。」
「……あ、アーサーさま…」
「ついてこないで!!」
ベッドから降りようとしたユーリをエイダが怒鳴りつけた。
突然の怒鳴り声にユーリは体を縮こまらせ固まってしまう。
「…エイダ……何故怒鳴る…?」
アーサーも少し驚いたようで、心底不思議だと言うような顔でエイダに問いかけた。
「…あ、あら…私ったら…大声を出してしまってごめんなさい……でもやっぱりアーサーと2人で出かけたいの…昨日のパーティーだって…本当は2人きりでやりたかったんだもの…」
エイダは「だって私たちフィアンセなのよ」と続け、ユーリに笑いかける。
アーサーはため息を吐くと、すっかり怯えた様子のユーリの頭を撫でてやった。
「……いい子に、起きたらアリアの言うことをよく聞くように。すぐに帰る。」
「………あ、…、…え、…ぁ…」
「なんだ?」
吃るユーリに、アーサーは言葉を促すように顎に手を滑らせる。
ユーリはこれに弱い。
「………ま、待って…ます……」
(1人にしないでください)
(おいていかないでください)
(さびしいです)
そんなことは口が裂けても言えなかった。
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