アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
中央広場
-
まずは、奴隷たちが唯一自由に振る舞える休憩所となっている広場へ寄ってみた。
休憩中の奴隷たちは疲れ切っているようだったが、ときどきどこからか笑い声が聞こえたりする。
「……ユーリ……?」
「……え……?」
「……おまえ…ユーリ…!?」
30そこそこの筋肉質な男が驚いたような顔でユーリに近寄ってくる。
男のあまりの迫力にアリアは後ずさったが、ユーリは逆にその男の方に向かって走っていった。
「ルーインさん…!!」
「…やっぱり…!ユーリじゃないか…!お前どうして…!!」
飛びついてきたユーリをガッシリと受け止め、おまけに一度高く持ち上げてから抱きしめる。
「あぁ…無事だったのか…!良かった…売られたって聞いて…俺ら………」
ユーリは豪腕に潰されそうなくらい抱きしめられながら小さく声をあげた。
「……あ、アーサーさま、が、」
「………アーサー様……?」
「アーサーさまと…暮らしてます……」
「………はぁ!?!」
ルーインが大声をあげたので、何事かと数人の奴隷たちがこちらを伺ってくる。
「…な、なんでもねぇ…しっしっ!あっち行けって!」
ルーインは慌ててそれらを手で払うとユーリにだけ聞こえるように耳元で話し始めた。
「……俺らはこんなんだし、アーサー様を憎んでる奴は多いからな……で、なんだって?」
「あ、アーサー…様が…俺をせん、せん…えっと…どれい、で……」
「???」
・・・・・・
「アーサー様はユーリを売らずに使用人として側におこうと仰られたのよ。」
いつの間にかアリアも近付いてきていて、ユーリの代わりに諸々の説明をしてくれた。
「アーサー様は少なくともユーリを気に入られておられるの。だからユーリはこうしてここにいるのよ。」
「………へぇ………そっか、お前……良かったなぁ〜!」
ルーインは黄色くなった歯を見せて豪快に笑う。
が、それを見たユーリは泣きそうな顔でルーインに抱きついた。
「……ごめんね…ごめんなさい…ルーインさん……」
ルーインがユーリの頭を優しく撫でる。
「あ〜?どうしたユーリ?」
「おれ、おれも、ほんとは、みんなと……なのに、おれ……」
嗚咽の混じる声に、ルーインは目を見開いて、またすぐに笑い出した。
「お前はこんなとこにいちゃあ行けねぇよ!アーサー様に可愛がってもらってるんなら結構結構!まぁ頑張れよ!ほら、俺は次の仕事があるからよ!」
「あっ……ま、待って…!」
立ち上がろうとするルーインの腕をユーリが掴んだ。
「どうした?」
「る、ルジン…は……」
ルーインはしばらく宙に目を向けていたが、思い出したように手を叩く。
「あぁ!自室で休むって言ってたぜ。」
「あ、ありがとう……あのっ……」
「?」
「また、また、今度……っ…」
「……おうよ…!!」
ルーインは今度こそ立ち上がると、汚れたタオルを持ってのっそのっそと歩いて行ってしまった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
118 / 207