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寒く寂しい夜 (sideアーサー
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何故だか眠れない。
隣にこいつがいるからだろうか。
目をつぶってしばらく。隣で起き上がる音がした。
「…アーサー…さま…」
焦燥の色が滲んだ、少し擦れた声でそう言ったきり動く気配がない。
「………………………………。」
何だ。
言いたいことがあるなら言え。
アーサーは背を向けて待ったが、ユーリは一向に喋る気配がない。
それどころか、毛布からもぞもぞと抜け出し始めた。
外気が肌寒い。
「…………ごめんなさい…ありがとうございます。」
…は?
それは何に対しての謝罪だ?
突然の理解できない言葉に、アーサーの眉間のシワが深くなる。
すると、布が擦れる音がし、温もりが感じられなくなった。
……どこに消えた?
アーサーがユーリを探そうと起き上がろうとすると
「……ルジン………」
と、小さく聞こえた。
……誰だ……?そいつは……
…奴隷か?
アーサーが思考を巡らせているうちに、またユーリが小さく言う。
「寂しいな」
自嘲するような。
そんな声で。
そしてしばらくすると、規則的な寝息が聞こえ始めた。
…寂しい……のか……こいつは……
アーサーは起き上がると、部屋を見回した。
ユーリらしき姿が見当たらず、不思議に思うと、下からもぞもぞと布擦れの音がする。
「……何故だ…」
ユーリが絨毯の上に小さく丸まっていた。
両腕で体を抱き込み、寒そうに眠っていて、細く小さな体が余計に小さく見える。
アーサーはユーリを抱き上げると、ベッドの上に寝かし直した。
「…ん」
ユーリの顔が少し緩む。
昼間はそんな顔しなかっただろうに。
そのルジンとやらの夢でも見ているのか…?
アーサーはそんなことを考えつつも、ユーリを抱き込むようにして毛布をかけた。
「…私がいてやっているというのに……。」
少し不貞腐れたような声でそう言うと、目を閉じた。
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