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ユーリ
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朝食後、ユーリはアーサーに連れられ、アーサーの書斎に来ていた。
「まず貴様には言葉と文字を覚えてもらう。」
「もじ…?」
「こういうものだ。」
そう言ってアーサーは紙に何かをスラスラと書き、ユーリに見せる。
「…あ…ルジンが書いてたやつ…!」
ユーリが目を輝かせた。
確か地下にいた時、ルジンが壁に何かを書き込んでいたのを見たことがある。
何かと訪ねたら、「いつか教えてやる」と言っていた。
しかし、アーサーの顔は不機嫌を露わにする。
「そいつの名前は今後言うな。」
「ぇ……?ど、どうして………」
「どうしてもだ。口答えをするな。」
「……………は、い……」
ユーリは悲しそうにスカートの裾を握りしめた。
「…………………座れ。」
「……はい…。」
アーサーは何とも言えない複雑な顔でユーリに命令し、自分の椅子に座らせた。
「名はユーリ、だったな。」
「はい…!」
自分の名前を呼ばれて嬉しかったのか、ユーリは少しはにかんだ。
アーサーは次から名前で呼んでやろうと、心の中でひっそりと決めた。
「ゆ…ー…り……こうだ。」
ユーリは上質な紙に書かれた記号を見つめる。
「…これが…おれの…名前…?」
全く読めないが、何となく気に入った。
「そうだ。とりあえずは自分の名前を練習しろ。」
「は、はい。」
ユーリの手には少し大きい万年筆を握ると、見よう見まねで紙に書き出す。
「…ぅー…」
なかなかアーサーのようにはいかない。
線はガタガタで、読めるのかどうかも怪しい。
「しばらくここで練習をしていろ。私は少し席を外す。」
「…?…はい。」
(…せきをはずす…?
……ここで待ってろってこと……?)
「じゃあ大人しくしていろ。」
アーサーは最後にユーリを一瞥すると、部屋を後にした。
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