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好物
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「お前の好物を聞いていなかったな。何が好みだ?」
ふいにアーサーが問いかけた。
そう言えばこいつの好みは何なのだろうか、と気になったのだ。
そしてそれをたくさん用意してやろうと。
「……こうぶつ?」
「好きな食べ物だ。何でも食わせてやるから言ってみろ。」
「…なんでも…好きな……」
ユーリは一瞬顔をきらきらと輝かせたが、すぐに俯く。
アーサーは立ち止まってユーリを見た。
「……遠慮するな。」
ユーリはあわあわとした顔で、アーサーを見上げる。
「…あ……おれ………ぱん……」
「…パン?」
「…こ…こういう…」
ユーリは手でジェスチャーをしてみる。
「…フランスパンか」
「…?………そ、そぅ……」
恐らく名前を知らないのだろうが、ジェスチャーからしてたぶんフランスパンだろう。
(…にしても………パンはないだろう…)
アーサーは少し複雑な気持ちで、再び歩きだそうとした。
「…………………………」
しかしふと気づくと、ユーリがチラチラとアーサーの顔を見上げながら、恥ずかしそうにアーサーの手を見つめている。
(…………………………あぁ……。)
「………………!」
手を少し開いてやると、驚いた様にアーサーと手を交互に見て、恐る恐る両手でその手を掴んだ。
「……手を繋ぐのが好きか。」
「あ、アーサーさまの手…好き……です…」
「っ………そ、そうか」
アーサーは軽く握り返すと、なるべくユーリの歩幅に合わせながら歩いた。
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