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孤独
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「食べて」
「ありがとうございます…」
投げるように渡されたパンと水を受け取る。
固いパンをちぎってひとくち口に入れた。
「………、………」
数日が過ぎて、まずはここが城の地下で間違いはなさそうだということがわかった。
メイドたちの制服からしてヴィンセント家の者だということは明白だし、そもそもアーサーの名前を知っていたからだ。
それと、メイドは決められた2人しか来ない。
毎日交互に食料を持ってきて、たまにユーリの質問に答えたり、濁したりするのだ。
「…あの、おれは……いつまでここに…いるんですか…?」
メイドが出て行く前に、質問をする。
一生ここで暮らすことになるかもしれない、と思ったことはあったが、それならこんなことはせずいっそ殺してしまった方が良いに決まっている。
しかし、殺すならもっと早くに殺しているはずだ。
「…さぁ……いつまでかしらね。」
「…………………」
(これも答えてもらえないんだ…)
鉄の重い扉が閉まり、静寂がまたその場に満たされていく。
いつまで続くかわからない孤独に、身構えておくことにした。
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