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水
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唇が乾いていることに気がついた。
パンを食べようとしたときに唇が切れたのだ。
気にせず水を飲もうとして、ふいに、コップに入った水に自分の顔が映る。
「……あ…………」
やつれて、目の下にクマが出来ていた。
髪の毛もボサボサで、明らかにみすぼらしい。
(せっかくアーサーさまにきれいにしてもらったのに……)
「……よし…」
アーサーに申し訳なくなり、髪を整えようと水を手に垂らした。
「っ、あ、…!」
手が滑った。
銀のコップは大きな音を立てて床に落ち、水はたちまち敷きレンガの隙間を通って広がっていく。
「…あ、…う、………」
急いでコップを起こしたが、さっき貰ったばかりの水がもうほとんど残っていない。
そう思うと、急に喉が渇いてきた。
「……っ、う、……うぅ……」
途端に悲しく、みじめな気持ちになった。
ボロボロと涙が溢れる。
「…っ、…あ…アーサーさま…、…ごめ、…なさい……ごめんなさい、……」
ユーリは泣きながら僅かに残った床の水を掬って髪の毛を整えた。
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