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声
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「…………、………………」
「…!アーサー様!ユーリが目を覚ましました…!」
「…そうか……」
眼を覚ますと、アリアが心配そうな顔で覗き込んでいるのが見えた。
その奥に眉間にシワを寄せるアーサーがいて、おもむろに立ち上がってユーリを真っ直ぐに見つめてくる。
どこか、いつもと様子が違う。
「……ユーリ…お前に聞きたいことがある………アリア、少し外してくれないか。」
「……………、………」
「アリア。」
「……わかりました…」
なにやらアーサーはアリアを外に出し、ユーリの目の前に歩いてきた。
「…ユーリ、」
返事をしようとして、自分の異変に気がついた。
喉が枯れてひっついてしまい、言葉が出ないのだ。
「…、……」
驚いて1人で焦っていると、アーサーはまた話し始め
た。
「…お前が…この城から逃げたと…そう…聞いた。」
「…………?」
(逃げた…?)
言葉の出ないユーリは首を横に振り、誤解だと訴える。
「違うと…?なら…この数日間お前はどこにいた?まさか勝手にアリアから離れてずっと城の中に隠れていたということはないだろう?」
「…………………」
どこにいたかまでは、仕草だけでは答えられなかった。
「何故黙っている……?何か言ったらどうだ……」
そして、アーサーが突然ユーリの胸倉を掴み強んだ。
「答えろ!!」
アーサーの威圧的な態度と突然厳しくなった口調に、ユーリは固まってしまう。
「私の目を見ろ!!何故何も言わない!!」
力強く顎を掴まれて、ボロボロと涙が零れた。
「…、っ…………」
逃げてません!
違う!
叫んだつもりでも、パクパクと口が動くだけで何も出ない。
いまだに一言も話そうとしないユーリに、アーサーは唖然とした様子で怯えるユーリから離れた。
「…、…お前には……失望した……」
アーサーはブルブルと手を震わせて、グッと唇を噛む。
「………お前のことは…もう…何も信じられない……私は…お前を心配していた…なのに……」
アーサーはそこで吃り、ユーリを睨みつけると、ユーリの頬に平手した。
「っ……!」
ベッドに倒れたユーリの首に、アーサーの手がかかる。
「一生ここで反省しろ…二度と逃げようなどと考えるな…もしもう一度この城から出てみろ、そのときは……」
グ、と首が締められる感覚。
ユーリは擦れて出ない声で喘いだ。
アーサーは蔑するような目でユーリを見ると、そっと手を離し踵を返して部屋を出て行く。
ユーリは愕然として、ただ黙ってアーサーの背中を見送ることしかできなかった。
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