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フランスパン2
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「ぁ…の…アーサーさま…」
ふいにユーリがアーサーに呼びかけた。
(…珍しいな…自分から話しかけるなんて…)
「…どうした。」
しかしアーサーが問いかけると、ユーリはビクッとし固まってしまった。
「ぁ…あの……ごめんなさい…な、なんでも…ないです…」
「…何だ。言ってみろ。」
「あ…その…………」
ユーリは恐る恐るテーブルの上を指差した。
「あ、の……ふらんすぱん……食べ……」
が、慌てて口に手を当てる。
「ご、ごめんなさい…!」
「…何だ。怒らないから言ってみろ。」
アーサーはなだめるように言った。
本当は言いたいことはわかっている。
けど自分で言えるようにならないとダメだ、と思ってのことだ。
「…………あ、…ふ…は…ふらんす…ぱん……」
(……たった一言でどんだけ緊張してるんだ…)
「フランスパンを…どうしたいんだ?」
続きが言いやすいように誘導してやる。
ユーリはアーサーを見上げ、息を飲んだ。
「た…たべ…たぃ……です……」
目がうるんでいる。
一体その一言にどれだけの勇気がいったのか。
「そうか。」
アーサーはユーリの頭を撫でながらパンを取った。
「良く言った。
このテーブルのものは好きに食べていいし届かなかったら言え。いいな。」
ユーリはこくこくと頷くと、パンを小さくちぎって食べ始めた。
「あ、あの、ありがとうございます。」
「ああ。」
アーサーはユーリがフランスパンを軽く2.・3本平らげたのに驚いたが、明日から必ずフランスパンを出させるようにメイドに言った。
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