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主人
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ノックの音と共に、聞きなれた声がした。
「ケイ。」
「…はい、アーサー様。」
「…、………」
心臓が突然早くなる。
緊張で大量の汗が出てきた。
「………………………」
扉がゆっくりと開き、アーサーが入ってくる。
ユーリはいよいよ前を向けなくなってしまった。
「………ケイ、出ていろ。」
「はい。」
ケイはアーサーの横をすり抜けるようにして出て行く。
扉の鍵が閉められた音がした。
「…ユーリ、私を見ろ。」
「………は、…っ、…はぃ……」
怖かった、いつもと違うアーサーの声が。
見上げて、息を呑む。
怖い。
「…お前にもう一度…聞きたい、何故私の城から逃げ出した」
「…、あっ…あの…っ……」
逃げてない、
そう言わなくては
言うと決めたはずなのに、いざアーサーに前に立たれると、体はちっとも動かなくて、ただ口が震わせることしかできなかった。
「……早くしろ」
「っ……おれ……」
「……………………」
「おれっ、は…逃げて…ません……おれは……」
なんとか出たのはそこまでだった。
吃って、つっかえて、ユーリはそのまま俯く。
でも、
(言った…)
(これでアーサー様はわかってくれるはずだ…)
ユーリはそう思った。
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