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おまじない
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「…ケイ、引き続きユーリを監視しろ。明日…また来る。」
「はい。」
アーサーはすれ違いざま、どこかやつれた顔でそう言って部屋を出て行った。
中に入り気絶しているユーリを見た途端、ギョッとする。
「…!?…あらら…こりゃ…また…派手に……」
急いで氷嚢を作ってからユーリを起こし、塗り薬を塗ってやった。
「……ゔ、ぅぐ……ごめんなざぃ”……」
泣いてばかりではダメだと決めたはずが、いざアーサーに鞭で叩かれたらこれである。
ユーリはぐちゃぐぢゃに泣きながらもケイに謝り、シワの出来て捲れたスカートを元に戻した。
「…っ…ゔ…ぅぅ……っひ、……」
「………あんた…相当アーサー様のお気に入りだったのね……」
「…ぅ…っ、…く……」
「最初会ったときは本当に感情の無い人だと思ったわよ…あんなに怒るのね…知らなかった。」
ケイはどこか楽端的に笑ってユーリの優しく背中を撫でる。
「あのさ、本当のこと、言っちゃった方が楽だって。そしたらアーサー様も優しくしてくれるかもよ?」
相変わらずケイは信じてはくれない。
「…うっ……あ、アリアさん…アリアさんに会いたい……っ、く、…」
きっとアリアならわかってくれるのに
アリアなら、
「はぁ…アリアさんねぇ……でも、ごめん、それは無理でしょうね。だってあんたは私以外に接触しちゃだめなんだし。」
その言葉を聞いた途端、今度は『アリアに二度と会えないかもしれない』という不安が襲い掛かってきた。
ユーリは一層大粒の涙を流して、必死に訴える。
「ほんとにっ…ほんとにおれはやってません…!ほっ、おれは…!おれ、っ、」
ボロボロと溢れる涙と、勝手に喉から上がってくるしゃくりにそれ以上上手く言葉が出せない。
「あぁあ…わかった、わかったから…ほら…もう泣かないでよ…」
「わ”、わかっで、な…、」
「よしよし……」
ケイはなだめるようにユーリの背中を優しく叩き、ついでに頭にキスをしてやった。
「……?」
「おまじない、誰かが言ってた。ほら、泣き止んだでしょ?」
「…ぁ……」
ケイはそう言って優しく笑った。
初めてみたケイの優しい笑顔にユーリもつられて少しだけ微笑む。
「…あんた、いい顔出来るじゃない。」
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