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「躾だ」
と、アーサーはここ一週間、そう言ってユーリを鞭で叩いた。
ユーリはもう喋る気力も…というよりかは、『アーサーに理解してもらうということを諦めた』と言っても良いかもしれない。
何度も訴えた結果は、なにも変わらなかった。
ただただアーサーの八つ当たりの様に振られる鞭に耐えて、ケイの前で泣いた。
「………あんた、気の毒ね…どうしてそうまでして認めないの?…例え本当に逃げてなかったとしても…まぁ、目撃証言があるから間違いはないんだろうけど…でも…認めたら楽なのに。」
「…おれ…は…アーサーさまに……、…」
そこまで言いかけて、ユーリは気がつく。
(…アーサー様に……なんだろう…)
自分はアーサーに何をしてほしいんだろうか。
何故こんなに苦しんでまで、否定するのだろうか。
改めて聞かれると、答えられるものなど一つも持ち合わせていなかったのだ。
(自分のため?)
そう思ったとき、ユーリはハッとした。
(……おれは、『どれい』なのに?)
奴隷、とは、なんだ
奴隷は、主人のために、なにをすべきか
「どれい……」
「…え?何?今なんて…」
なんて自分は、
どこまで馬鹿なんだ
勘違いをしていた
簡単なことだった
「おれは、どれい……」
ふいに、地下の奴隷たちに言われていたことを思い出す。
「……アーサー様の言うことは絶対だ。アーサー様が『こうだ』と言ったら、そうなんだ。例えそれが真実でなくとも、意に反していても…逆らってはいけないよ……」
…では、アーサーが『ユーリが逃げた』と言ったなら?
「……たとえ…しんじつじゃなくても………」
認めるべきでは?
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