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クスリ
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「…………………………………」
(酷く寒いな。)
(ここは。)
靄のかかったような頭で、そんなことを考えた。
先ほどまでアーサーによって生き物のように動いていた鞭が力なく地面に落ちる。
「ケイ」
「はい」
「手当てを。」
「…わかってます」
「……明日また来る」
感情の読み取れないアーサーの声に、ケイは少し身震いをした。
「…あの…しかし…ユーリの傷は…」
「…ケイ」
「………わかりました…」
有無を言わさず、アーサーは重そうに階段を上っていった。
「……ユーリ、…」
「…は、…ぃ……」
「今、外すから、待って」
「…だいじょぶ…です……」
「……………………」
一体この状況のどこが、とは言えなかった
大丈夫じゃないことぐらい本人だってわかってる
「……こんなの…1日やそこらじゃ…効かないのにね……」
薬を塗りこみながら、ケイは自嘲とも似た口調でそう言う。
「きいてます、おれ、嬉しいです」
「……?」
今度こそ何を言っているのかわからなかった。
何が『嬉しい』のか
「おれなんかのために…こんな…くすりは高いです…だから……」
治されながら、それを遥かに超える傷をつけられている
微かに笑った彼はこれが生き地獄だと、気づいているのだろうか
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