アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
過不足
-
実のところ、ユーリの苦しそうな顔と足までしたる血がアーサーを興奮させていたのかもしれない。
アーサーは冷静さを欠いた。
白い肌が裂けぷくりと玉のようにはみ出た血が次の瞬間にはユーリの身体をなぞって落ちていく。
白と赤のコントラストが少なからずともアーサーの興奮を煽った。
「………何故…逃げようとした………私は…あれほどお前に尽くしたというのに……何が…何が足りなかったというのだ…?」
「…………………………」
答える気力などなかった。
そもそも、自分の意思で逃げたわけではないユーリに答えられることなどないのだが。
ユーリからすれば足りないものなど無かったし、十分すぎるくらいだった。
「食事も…新しい服も……本まで読んでやった…一緒に湯船に浸かり…一緒に寝た……何が……」
(……そうだよ…なんでおれ……逃げたんだっけ…?)
(……あ……違う…逃げたんじゃなかった……)
ユーリの思考も段々と混乱してきて、何が真実なのか忘れそうになってくる。
「…………………………………」
「っ…何か言ったらどうだ…!!……私を…そうやって馬鹿にしていたのか…?笑って…、影では私から逃げる機会を伺っていたと……?」
ユーリは哀しそうにアーサーを見上げることしかできなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
159 / 207