アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
手
-
「ユーリ、私はやらなければいけない仕事があるから……お前はどうする。」
「ぁ……」
(…どうしよう…)
本当は、アーサーと離れるのは怖い。
今、自分にはアーサーしかいないのだ。
(…でもアーサーさまは嫌かもしれない……)
「あ、あの、お、俺…1人…で……」
「…ユーリ。」
「は、はい。」
「………この手は?」
(……手………?)
アーサーの視線を辿ると、アーサーの服をしっかりと掴む自分の手があった。
「っ!!」
慌てて手を離す。
「す、すみませ…おれ……な、なにやって……」
が、離そうとしたその手をアーサーに掴まれた。
「…本当に1人でいいのか?」
「…………………………………」
(……いや………だけど…)
「だ…だいじょうぶ……です…。」
と、笑ってみせた。
(よし…うまく笑えた…!)
…と思ったが、アーサーの顔が微かに歪む。
「下手くそだな…。」
「…?」
アーサーは何も言わずにユーリの手を引いて歩き出した。
廊下ですれ違ったメイドと話をするアーサーをただ眺める。
相変わらず話はわからない。
「…はまだあるか?」
「はい……様がいらっしゃったときのものが…」
しかしすぐにメイドとの会話は終わり、アーサーについて歩き始めた。
「…アーサーさま…どこ…行くんですか…?」
「私の書斎だ。お前もそこにいていい。」
「ぇ……」
(……いいの…?)
「ぜったい邪魔しないようにします…!」
「ああ。すぐ終わらせる。」
アーサーは書斎の前で止まりユーリの頭を一撫ですると、中に入った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
33 / 207