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様子
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「そうですけど…それが何か?」
ケイは怪訝そうな表情で聞き返した。
アリアは少し躊躇ったのか、ケイの顔と自分の足下を交互に見やる。
「あ…あのね、その…ユーリの様子…聞こうと思って…」
やはりな、と思いつつも、ケイは髪を振ってアリアの目をしっかりと見据えた。
「…そうですか……でも、ユーリの事様を外部に漏らす事はアーサー様に口止めされてますので」
「………そう…やっぱり……」
アリアは肩を落として膝の上に置かれた自分の手を見下ろす。
ケイはまだ続きがある、と言うように咳払いをした。
「…だから、これは私の”独り言”と言うことに。」
アリアは一瞬驚いた顔を見せたが、すぐにケイの手を握って笑う。
「ありがとう…!」
ケイは手を握られたことに驚く様子を見せたが、再び咳払いをして小さな声で話し出した。
「…ユーリは今、逃亡の罪でアーサー様から罰を受けています。」
「罰…?」
「…酷い鞭打ち……まるで八つ当たりのような……」
「…………鞭打ち………」
アリアは呟きながら想像したのか、グッと目を瞑り眉を顰める。
「アーサー様は今自制がきかないようです。私が止めなければ…ユーリが気絶するまでか…あるいは……」
『死ぬまで』とは、目の前のアリアには言えなかった。
美しい顔が、苦しそうに顔に歪んでいる。
ユーリが彼女を慕ってしたように、彼女もまたユーリを可愛がっていたに違いない。
「………………ユーリは無実よ…」
ぽつり、とアリアが呟く。
ケイは目を閉じて、静かに答えた。
「……それは…私にはわかりません…ユーリは良い子だけど…でも……」
「……だって……違うもの…ユーリは……心からアーサー様を慕っていたはずよ……何かの間違いだわ……本当にユーリは……」
アリアはそう嘆いて、顔を掌で覆って俯いてしまった。
「……私にも…わかりません…」
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